弁理士 千葉哲也 の部屋

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秘密特許制度が日本にもいよいよか

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www.nikkei.com

 

日本政府もいよいよ、いわゆる「秘密特許」に関する検討を加速させ始めています。

 

通常、特許などの知的財産は、社会発展目的で公開されることが原則です。

 

ところが、日本も締結しているTRIPS協定第73条には、その例外措置が規定されています。

 

www.jpo.go.jp

 

第73条 安全保障のための例外

この協定のいかなる規定も,次のいずれかのことを定めるものと解してはならない。


(a) 加盟国に対し,その開示が自国の安全保障上の重大な利益に反するとその加盟国が認める情報の提供を要求すること

(b) 加盟国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要と認める次のいずれかの措置をとることを妨げること

(i) 核分裂性物質又はその生産原料である物質に関する措置

(ii) 武器,弾薬及び軍需品の取引並びに軍事施設に供給するため直接又は間接に行われるその他の物品及び原料の取引に関する措置

(iii) 戦時その他の国際関係の緊急時にとる措置

(c) 加盟国が国際の平和及び安全の維持のため国際連合憲章に基づく義務に従って措置をとることを妨げること

 

これがいわゆる「秘密特許」と呼ばれているもので、日本以外のいくつかの国では既に制度上、認められています。

 

主として、公開された特許は誰でも見ることができるので、良からぬ人に軍事技術への転用目的などで利用されないようにするための、経済安全保障上の措置の一つとして規定されています。

 

ただ、言うは易し行うは難しで、秘密特許の法的要件をどのように規定するかは難題だと思います。

 

どのような技術が軍事転用されるかはなかなか想像がつきにくい分野もあるでしょうし、要件を軽くしてあまりに秘密特許を増やすことになると、特許法などの本来の目的(公開原則)における社会的損失が大きくなるからです。

 

このあたりは、既に実施している日本以外の国の現状をよく調査した上で、また、現場の意見をしっかりと吸い上げた上で、日本国の国益も踏まえつつ、効果的な制度を規定していく必要があると思います。

 

これからの検討の動向に要注目です。