日本製鉄がトヨタと中国の鉄鋼メーカーである「宝山鋼鉄」を特許侵害で訴えました。
日本製鉄が持つ、電気自動車のモーターに使われる電磁鋼板に関する特許が侵害されたというものです。
日本製鉄が日本企業を特許侵害で訴えるのは初めてのようで、しかも相手はトヨタ。
早くも株式市場が反応していますが、私としては、勇気ある賞賛すべき決断であったと思います。
日本製鉄は対象特許について日本国内において権利取得していますが、中国では持っていない。
ここに問題がありました。
本当のところは宝山鋼鉄(だけ)を直接訴えたかったのだと思いますが、中国での権利を持っていないので、日中間の法的制約上、このままでは中国で裁判を起こして、勝ち取って、製品の差止めや損害賠償金を得ることはできません。
宝山鋼鉄がトヨタと製品販売納入契約を締結する際には、特許保証が含まれていると思われます。
納入製品に関する特許のトラブルは納入者の責任とするものです。
したがって、日本製鉄は、トヨタも巻き込むことによって、日本で裁判を起こすことができ、それを受けてトヨタが宝山鋼鉄に特許保証契約に基づき、宝山鋼鉄に対応させる(損害賠償も)ことが期待できるからです。
今後、中国企業と日本企業を巻き込んだ同様の訴訟・争訟は増加すると思われます。
今回のケースはその先駆の事例となるのか、今後の動向に要注目です。