計算対象によっては今のスーパーコンピュータの処理速度を大幅に上回る量子コンピュータが登場すると、現在利用されている暗号通信の仕組みが破綻すると言われている。
この状況に対応するため、2024年の実用化を目指して新たな暗号化方式が検討されており、NIST(米国立標準技術研究所)での検討においては、NTTなどの提案方式(NTRU方式)が最終候補4つのうちの1つに残っているとのこと。
現在の暗号方式が素因数分解を応用したものであるのに対して、NTRU方式は「格子問題」を駆使したものとのこと。
「格子問題」については、こちらがわかりやすい。
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そして、NTTは、
NTRUが米国標準に選ばれた場合も、第三者利用の特許料を受け取らないことを明らかにしている。
NTT方式の利点は専用の装置が不要なことだ。現行方式から移行するのに障壁が少なくて済む。その上で先行者利益で周辺ビジネスで稼ぐことを狙う。
この部分はとても注意が必要です。
技術を標準化した際に、そこに使われているNTTの特許について第三者が利用する際には特許料を無償にする、という点は良いにしても、「先行者利益で周辺ビジネスで稼ぐこと」については十分、戦略を持って対応する必要があります。
今後、長期間、使われる可能性がある暗号技術です。
これをNTTのみならず、日本のビジネスとする必要があります。
そのためには、単純に先行者利益、だけではダメで、この周辺ビジネス、否、コアビジネスにおいても、対象標準を使う際には、使った方が効率性が上がるという機能部分に、特許を張り巡らせておき、その部分ではきちんと特許料を徴収する仕組み作りが必要です。
一緒に提案を行っているQualcomm社は当然ながらその準備をしています。
NTTはここはずる賢く、周到な準備をしておくべきだと思います。