今月10月4日に、米国テキサス州マーシャルの連邦裁判所において、通信グローバル大手のEricssonがAppleに対して通信5Gに関する訴訟を提起しました。
EricssonとAppleは過去に通信に関する特許訴訟を繰り広げてきましたが、今回は特許侵害訴訟ではなく、ライセンス料金が妥当かどうかの判断を求める訴えです。
Ericssonが保有する5Gの標準必須特許(SEP)に関する特許ライセンスについてAppleと交渉してきたが、今回、決裂したため、訴訟に踏み切ったようです。
EricssonはAppleに対してSEPのFRAND(公正、合理的、かつ非差別的)条件に基づく特許ライセンス料を提示していたが、Apple側は、FRANDに該当しない、そして、大量の対象特許について1件ずつ、それが本当にSEP、標準に必須な特許なのかどうかを評価した上でライセンス契約を提示すべきと反論していたようです。
ただ、現在の通信技術に関する特許は何万もあり、そのうちEricsson自体も多数の特許を保有しているため、1件ずつ評価することは、コスト的にも時間的にも非現実的です。
そのため、通信技術のSEP/FRANDのライセンス交渉上は、少数の代表的な特許を評価した上で、何百件分をまとめて束にしてライセンス料金を設定することが一般的になっています。
Appleのこの反論は正論ではあるものの、実際上は非現実的なので、今回、裁判所がこの交渉状況をどのように見て、判断するかが注目すべきポイントになります。
このような5GのSEPに関する訴訟は今後、世界中で益々増加すると想定されますので、関連企業の皆さまはこれらの裁判状況なども注視した上で、事前に十分な準備をしておく必要があると考えます。
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