弁理士 千葉哲也 の部屋

RPA - Runner Patent Attorney ランニング好きな弁理士 千葉哲也が知的財産に関する様々な話題を提供していきます。

本・図解の「ファスト」コンテンツについて

f:id:tetchiba:20211013010007p:plain


www.sankei.com

 

映画ではなく、本・図解の「ファスト」コンテンツに関する記事です。

 

確かに、著作権法に照らし合わせてみると、違法の可能性が高いのです。

 

ただ、このあたりって考え方が難しいですよね。

 

このファストコンテンツにより、対象の本が売れなくなってしまったのなら、その本の著作権者にとっては問題ですから、違法として、取り締まってもいいと思うのですが、このファストコンテンツをきっかけに、対象の本と出会って、全文を読んでみたいという興味が湧いて、その本の購入につながった場合、これも一律で取り締まるのは、その本の著作権者が望むことではないと思うのですね。

 

著作権法の第1条(目的)には、こうあります。

 

elaws.e-gov.go.jp

 

(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 

「文化的所産の公正な利用」と「著作者等の権利の保護」とのバランスを図りながら、「文化の発展に寄与すること」が著作権法の目的なのですね。

 

著作権者が認めるのならば、違法としないほうが、著作権者のためにもなるし、社会全体の文化の発展にもつながることも多々あると思うのです。

 

ソフト・ロー的な考え方を著作権法に導入していくことが必要かもしれないですね。

 

kotobank.jp