弁理士 千葉哲也 の部屋

RPA - Runner Patent Attorney ランニング好きな弁理士 千葉哲也が知的財産に関する様々な話題を提供していきます。

スイスのランニングシューズ On の CloudTec® の特許について

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www.on-running.com

 

皆さん、スイス生まれの On というランニングシューズをご存知でしょうか。

 

最近、日本でも少しずつ流行し始めているので、このキャタピラみたいな底のデザインのシューズを履いている人を見かけることがあるのではないかと思います。

 

このキャタピラのような構造は、 CloudTec® と呼ばれていて、特許になっています。

 

 

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2015年5月20日に、スイスにて特許出願され、その後、2016年に世界中(日本、EU、米国、韓国、中国、オーストラリア、英国、ブラジル、カナダ、メキシコ、ロシア)で特許出願されています(日本、米国、中国などでは既に特許として認められています)。

 

日本の特許は、特許6765420号です。

 

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  軟弾性ミッドソール(20)を有する柔軟な靴のソール構造であって、
  前記軟弾性ミッドソール(20)は、歩行時、地面に少なくとも部分的に接触し、溝形エレメント(21)を有し、前記溝形エレメント(21)は側面が開口した平底を備え、
前記ミッドソールの長手方向に対して横方向に方向付けられており、地面に向かって下方に突出しており、
  前記ミッドソール(20)はエッジストリップ(23)を有し、前記エッジストリップ(23)は各前記溝形エレメント(21)を繋ぎ、前記溝形エレメント内の溝の断面を狭め、前記溝形エレメントの前記側面開口(24)の高さを決定し、
  複数の所定折畳切欠(25)は前記溝形エレメント(21)の外側に面するフェース側に水平方向に設けられており、
  歩行時、垂直及び/又は長手方向に作用する力に応じて、前記溝形エレメント(21)は前記エッジストリップ(23)部内の、前記溝形エレメント(21)の前記側面開口(24)が閉じるまで前記垂直及び/又は長手方向に変形され得る、柔軟な靴のソール構造であって、
  前記所定折畳切欠(25)は前記溝形エレメントの前記側面開口(24)の高さとほぼ同じ垂直幅を有し、それぞれ前記溝形エレメントの前記側面開口(24)と整列していることを特徴とする、
柔軟な靴のソール構造。

 

発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、軟弾性ミッドソールを有する柔軟な靴のソール構造に関する。前記軟弾性ミッドソールは、歩行時、地面に少なくとも部分的に接触し、溝形エレメントを有する。該溝形エレメントは側面が開口した平底を備え、ミッドソールの長手方向に対して横方向に方向付けられており、地面に向かって下方に突出している。上記ミッドソールは、また、エッジストリップを有する。該エッジストリップは、各溝形エレメントを繋ぎ、溝形エレメント内の溝の断面を狭め、溝形エレメントの側面開口の高さを決定する。水平の所定折畳切欠が溝形エレメントの外側に面するフェース側に設けられている。歩行時、垂直及び/又は長手方向に作用する力に応じて、上記溝形エレメントはエッジストリップ部内の、溝形エレメントの側面開口が閉じるまで垂直及び/又は長手方向に変形され得る。

 

特許の説明はこのような感じで、一般の方だとなかなか読みにくいのですが、要は、CloudTec® のキャタピラのような部分の構造と特徴を説明したものです。

 

従って、他者が、これと同じ構造・特徴のシューズを開発しようとしたときには、On からライセンスを受けない限り、開発・販売などができないことになります。

 

On のシューズは見た目にかなりの特徴があるので、他者が真似すると、すぐにわかりそうですね。

 

ただ、実際は、外見がよく似ていたとしても、その対象製品が上記の特許の内容にきちんと当てはまるかどうか検討される必要があります。

 

似て非なるものもあるためです。

 

その場合は、特許権侵害にならないので、他者は自由に開発・販売することができます。

 

この辺りの判断は一般の方には難しいところもありますので、専門家である弁理士知財を担当している弁護士のサポートをお願いしたほうがよいです。