2021年4月5日に、米国の最高裁は、10年に渡って闘ってきた、Google vs Oracleの訴訟に、Google勝訴の決着を付けました。
Oracleが買収したサン・マイクロシステムズが開発したJava関連のAPIを、GoogleがAndroid OSで使用するAPIの一部として利用しました。
この訴訟が起こされる前までは、一般的に、APIは著作権で保護されない、という見方が強かったため、Googleはサン・マイクロシステムズに無断でこのAPIを利用しました。
この訴訟でのポイントは、以下の2点。
- APIに著作権が認められるのかどうか。
- Java関連のAPIの利用がフェアユースにあたるかどうか。(米国においては、フェアユースであると認められた場合は、たとえ著作権侵害を構成する利用形態であっても著作権侵害とはなりません。)
Oracleが要求した損害賠償額はなんと88億ドル(約9,700億円)と膨大な額ですね。
一審の連邦地裁では2012年に「APIに著作権は認められない」としてGoogle勝訴。
二審では、連邦巡回区控訴裁判所が2014年に、一審を破棄して「APIに著作権が認められる」とし、更に2018年には「GoogleによるJava関連のAPIの利用はフェアユースにあたらない」としてOracle勝訴。
そして、今回の最高裁では、「APIに著作権が認められるのかどうか」は判断されなかったものの、「GoogleによるJava関連のAPIの利用はフェアユースにあたる」としてGoogleが勝訴しました。
今回、「APIに著作権が認められるのかどうか」が判断されなかったのは残念ですが、フェアユースが認められたので、今後、グローバルにおける同様の事例の判断への影響があるもののと思われます。
なお、Oracleはこの判決を受けた声明の中で、Oracleがこの10年にも渡る訴訟を繰り広げたことで、現在、欧米等の規制当局によるGoogleのビジネスの調査(競争法違反など)が行われているのだ、と述べているようです。